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東京小平市  キャリア15年  不妊専門の鍼灸院  院長は不妊カウンセラーです

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昔の院長日記から

2008.3.9~2008.6.10のコラム 

昔のコラムを採録しました。
高校生の霊能者の女の子が不妊患者さんの中に入って、わたしと会話する、という特殊な設定です。
不妊をめぐる知識を読みやすく書いたつもりです。

第1話  第2話  第3話   第4話
と分かれています。

左がわたし、右がのり子という設定です(2016.4.11注)

20083 9 ()

はじめまして

はじめまして もーもーとのりピー

わたしは、日本不妊カウンセリング学会認定の不妊カウンセラーのもーもーと申します。 

なぜもーもーかって? 動きがにぶくて、のんびりしていて。家族が牛みたいというし。それに丑年生まれのおうし座だからってこともある。

わたしは鍼灸で未妊に悩む方々の身体を改善するだけでなく、お話を聞いたり、不妊にまつわる医学的な情報を提供しています。

このブログの大切な相棒ののりピーを紹介しますね。のりピーはもーもーの家の近所に住む高校二年生の女の子。よく遊びにくるんです。

のりピーは遠隔でもーもーが会ったことのない未妊に悩む方々の中に入る特殊能力があります。未妊の方の気持ちや疑問をのりピーが代弁してくれるんです。  

   もーもーはのりピーの口を借りて、未妊の方々と対話ができるんです。のりピーはこの任務を、ボランティアの気持ちでやってくれています。口のきき方は、いつもタメ口だけど、それが良いともーもーは思っています。 

  後日、未妊の方とお話をすることになります。みなさん、どうぞよろしく

第1話 2008311 ()22日(土

「もーもー先生、こんにちは。今忙しい?」

「今ちょうど終わったところだよ。ちょうどいいところに来た。今お菓子をもらったところさ」

「うわぁ、ラッキー!!先生、九州で桜が咲いたってテレビでやってたよいよいよ春ねぇ」

「早いもんだ。季節は春だけど、赤ちゃんという春が来なくて悩んでる人が多いよなぁ。」

「そうなの……。お気の毒ね」

「そうなんだよ。みなさん、辛い思いを胸に畳んでがんばっているんだね。のりピーはその人たちのためになりたいって、もーもーのところにきてくれたんだものな」

「わたしにできること、したいな〜〜って、思ったからね」

「頼むよ。ご苦労様」

「じゃあ、あたし今、入れ替わるからね」

 こうしてのりピーは不妊に悩むAさんの中に入り込み、Aさんに代わって話し出した。

のりピーの口を通して、Aさんが語ったプロフィールは次のようになる。

年齢三十三歳

結婚四年

・ 赤ちゃん欲しい歴三年

・ まだ検査や病院での治療は受けたことがない

「先生、どうして私のところには赤ちゃんがなかなか来てくれないのかしら。結婚したらすぐ授かるものと思ってた」

「それは無理もないね。世間も親もみんな、そう思ってるからなぁ。赤ちゃん欲しい歴3年目でも授からないって、未妊の人の中で今が一番きつい時期なのかもしれない」

「そう、そうなのよ。お正月なんか結構落ち込んだわ。赤ちゃんの写真が入った年賀状がたくさんきたし。おめでたいな、って思う反面、なんか辛かった」

「見るのが辛かったんだ」

「そう。ちょっと妬ましいしね。んー、でも先生、喜んでいるのよ。それはわかって」

「うん。その気持、分かる気がする。妬ましいけど喜ばなくっちゃ、っていう気持ちだね」

「そう。ちょっときついものがあるわね」

「きついものがある……か。あたり前に授かると思っていたのに、あれれ?どうなってるんだろう?って思う時期なだけにきついよね」

「なかなかできないカップルってどのくらいあるの? 先生」

ここでもーもーは、次のようなことをAさんに話した。

***日本では、避妊をしないで1年経ったとき8割のカップルは妊娠する。2年目で残りの半分が妊娠する。つまり、2年間で9割が妊娠する。次の1年間で残りの半分のカップルが妊娠する。つまり、まる3年で95パーセントが妊娠する***

「つまり私は、その95パーセントに入らなかったって訳ね・・・。どうしてなのかしらね」

「どうしてなんだろうね」

原因がわかれば、苦労しないのよね……。わかればその治療をすることで赤ちゃんが授かるでしょう」

「うん……。でも、そうとも言えないんだ」

「そうなの?私はまだ検査をするつもりはないけど、検査をしてどこか問題点があったら、それを治療すれば授かるんでしょう?」

「まぁ、検査によって原因のごく一部はわかるかもしれない。だから、検査を受けることは勧めるなぁ。けれど、ほとんどの原因はわからないというのが、実状なんだ。」

「何よ、それ。不妊治療はどんどん進歩してるっていうじゃない」

「うん。確かに、進歩はしているさ。多くの人の努力で。だけどその技術でできるのは、赤ちゃんができにくい原因のほんの一部でしかないんだ。」

ここでもーもーは聖路加病院婦人科綜合部長の佐藤孝道先生(日本不妊カウンセリング学会理事長)の言葉を話した。

(不妊カウンセラーのためのカウンセリングスキルアップセミナ−2008テキストより)

 不妊カップルに伝えたいメッセージ

不妊の本当の原因が明らかになることはまずない

誰かや何かに不妊の原因を求めることは意味のないことが多い

「そうなんだ。なんだかイメージが違ってきた」

「原因がわからないのだから細かい数値などに一喜一憂することもあまり意味がないということが分かってもらえれば良いんだね」

「ピリピリしないことなのね」

「そうそう、その意気だ」

「これからそう気をつけながら頑張っていきます」

「頑張らなくてもいいんだよ。ぼちぼち行こうね」

「ありがとう。もーもー先生。いつか、また来ても良い?」

「いつでもどうぞ」

「じゃね〜〜」

〜〜〜〜〜

「じゃ〜〜ん、もーも−先生、あ・た・し」

「おお、のりピー。戻ったね。お疲れさま」

「先生もね。ところで、これからどうするの?」

「ここのところ少し運動不足だったから、また散歩に行くよ」

「例によって落語を聞きながら?」

「そう。これが楽しみなんだ。のりピーも行くかい?」

「先生、それ本気で言っていないでしょう」

「わかる?」

「分かる、分かる! 先生、気持がすぐ表情に出るから」

「おじさんとの散歩では楽しくないだろうからね」

「わたし、これから友達と遊びに行くの!」

「青春してるね〜」

「その言い方、古〜〜い」

「まあ、楽しんでおいで。今日はごくろうさま」

「じゃあ、先生、さようなら!」


第2話

2008323 ()

第2話 その1

もーもー先生、こんにちは」

「やぁ、のりピーか!いらっしゃい」

「今、大丈夫?」

 「どうぞ〜〜」

「先生、どうしたの?目が赤いけど」

「今ウォーキングしてきたんだけど、今日は4月の陽気だっていうから、花粉がすごいんだ」

「花粉症って、辛いらしいわね」

「まぁ、これでも昔よりましなんだ。花粉症を発症した30年前は肉や脂をたくさん摂ってたから症状がきつかったけど、今は薬なしで過ごせるからね」

「食べ物ってだいじなのね、健康にとって」

「そう、身体で実感している」

「そろそろ始めようか」

「じゃあ、先生わたし入れ替わるね」

==================

「こんにちは。響子と申します」

「よくいらっしゃいました」

 のりピーの口を借りて響子さんが話はじめた。響子さんの未妊プロフィールは次のようだった。

40歳

これまでAIHを6回、IVFを10回繰り返してきた。治療歴は6年。

一度も妊娠したことがない

 仕事はもっていない

2008324 ()

第2話 その2

「IVF10回とは、ずいぶん頑張りましたね」

「はい。次は授かるかもしれない、次こそは……って、そう思いながら6年になってしまいました」

「6年……。長かったでしょう、6年は」

「最初は、こんなに長くなるなって思っていませんでした。はじめたら、夢中でここまできてしまいました」

「たった1回の体外受精だって、大変なことですよね。10回なんて尋常ではできることじゃない」

そりゃ、もう……。朝早くから病院に行って並んで、痛い注射を毎日毎日打ち続けて……。赤ちゃんを授かるためなら、これくらい我慢しなければ、って頑張ってきたんです」

「よく頑張ってこられましたね」

「はい……。それなのに」(涙ぐむ)

「……」

しばらくして。

「採卵だって辛かったです。初めの病院では麻酔をかけてもらったけれど、次のクリニックでは麻酔を使わない方針だったから。下手な先生に当たると、そりゃぁもう、拷問みたいでした」

「拷問……。そうおっしゃる方はこれまでもありました。痛くて、辛かったでしょうね……」

「家に帰ってから泣きました。なんでこんな目にあわなければならないのかって……」

「痛くて、惨めで泣かれたんですね」

それも辛かったけど、もっと辛いことがありました」

「もっとつらいこと?」

327 ()

第2話 その4

40歳以上の体外受精を受けた1087人を対象とした妊娠率と分娩率の研究がある(海外1998年)

累積の妊娠率が1回、2回、3回、4回と率は少しずつあがってゆく

しかし5回以降は、まったく妊娠と出産の可能性がなくなる

4回までの累積妊娠率は33%。累積分娩率は25%

これが研究結果だった

「えっ?では私が5回目と6回目のIVFは意味がなかったんですか!?」

「その確率は非常に高いといえます」

「なんということでしょう……」

「不妊カウンセラーとしては、こうした情報を提供すべきと考えています。理事長の佐藤先生もそれを推奨されています」

2008328 ()

第2話 その5

国立昭和記念公園のしだれ桜(2008.3.27撮影)

では無駄だったのでしょうか」

「まあこれは一応海外のデータで、響子さんの通っているクリニックでどうなのかは、私もデータがないので何とも言えないのです。病院ではデータを示してくれなかったのですか?」

「はい。病院って不親切なんですね」

「どの病院でもそうだというわけではないでしょうが」

「……」

「まあ親切とは言えませんね。病院ではこちらから聞かないことを医師の方から個別に答えてくれることはまれです。先生も殺到する患者さん相手なので、時間に追われています。むしろ響子さんのほうから先生に質問すると良かったのですが……」

「だって、忙しそうなので質問しにくい雰囲気があるんです」

「そのようですね。皆さんそうおっしゃいますから」

「不機嫌な顔も見たくないし」

「口頭だとそうした反応が多いようですね。質問を紙に書いて、先生に見せながら質問すると時間が短くなって先生も答えやすくなるでしょう。不機嫌な顔も減りますよ」

なるほど〜。そうだったんですね」

「でも、そういうことすら考えつかないほど、響子さんは追い詰められていたんですよね」

「そうなんです! ところで、先生。さきほどの、海外の研究によるなら、私はもう、ほとんど赤ちゃんは授からないってことなんでしょうか」

「病院で治療を続けるだけなら、そうなるでしょう。授からない確率は、非常に高いかもしれません」

 ここで響子さんは、涙ぐみ、言葉に詰まる。

 もーもーは、じっと見守ってから言った。

 授かる道があるんですよ! そしてこう励ました。

2008329 ()

第2話 その6

「でも響子さんは、こうして鍼灸の道を選ばれたのだし、私がお勧めする身体作りを続けていらっしゃれば、展望は開けてきます。それから、いつも初回の方にお話していることですが、鍼灸を含めた身体作りをしていくと、響子さんの卵巣の年齢は今よりも若返っていくんです。つまり妊娠年齢が若返ってくるのです(もーもーはデータを見せた。)

「え? 卵巣って若返るのですか?」

「若返りますとも」

「そういうことって、あるのですね」

「はい。しかも、これはラポール治療院だけではなく、どの不妊専門の鍼灸院でもおなじことです」

「病院では先生が卵巣刺激をつづけるとだんだん卵が育たなくなると言われました」

「それは事実です。多くの先生がそう言っています」

やっぱりそうなんですね」

「でもそれは身体づくりをしないでいた場合です。身体づくりをすれば、卵巣は若返ります

もーもーは40回以上の鍼灸を受けた方々のデータを見せた。

「ほら、このように、ほぼ全員の採卵状態が改善しているでしょう!」

「ほんと。わたしの歳でもなんとかなるみたいですね」

「そうですよ。40歳でもまだまだチャンスがあります。年齢なんて“小島よしお”です」

「……」

「先日も、44歳2ヶ月で出産された方がご挨拶にみえました」

44歳で!」

「はい〜〜。嬉しかったですよ! 約3年前にご来院になったときは卵巣がホルモンに反応しなくなっていた方です」

そのままなら、赤ちゃんは諦めなければならない状態だったとうことですか」

「そうです」

それなのに、44歳で赤ちゃんを抱けるまでになったんですね!!」

「だから響子さんも一度も妊娠がないからといって、諦めないで、鍼灸や身体づくりをなさってみてくださいね」

 響子さんは頷く。

「そうすれば、年齢なんて“小島よしお”です」

……。先生、なんだか元気がでてきました」

「それは良かったです」

話を聴いていただいて、気持が楽になりました。先生、どうもありがとうございました」

「身体づくりには時間がかかります。焦らないでいきましょう」

2008331 ()

第2話 最終

「は〜〜ぃ。わたし」

「おお、のりピー。ご苦労様」

「響子さん、いらっしゃったときと帰られたときが、別人のように元気になられたみたい」

「そうだね。それがカウンセラーとしての仕事だから」

そうだね、先輩のいい例を聞いたとき、気持が明るくなったのがわかったよ」

「はじめの海外のデータを示したときは暗くなったけれど、事実はお伝えしないとね」

「つらい数字だけど、事実は知らせてあげないと、だめだもんねぇ、先生」

「そう、将来どうなるかをはっきり示してあげることは、欠かせないことだね。特に不妊の方に対しては」

ところで先生」

「ん」

さっき、鍼灸と身体づくりをすれば“小島よしお”だって言ったでしょ」

「ああ、響子さん、無言だった」

それはそうよ。先生、ああいうのって、言わないほうが良いよ」

「そうかな」

「響子さん、固まっていたでしょ」

「そうだってね。小島よしおを知らないのかなって」

知ってるわよ誰だって。先生には似合わないの」

「だめ?」

うん、だ〜め!」

「じゃやめよう」

それが良いわ。じゃね、先生」

「お疲れさま〜」


2008415 ()

第3話 その1

「先生、こんにちは〜」

「やあ、のりぴー、久しぶり。半月ぶりだね」

「早いわね〜。桜も終わったし。ねえ先生、面白い話があるの」

「ほう」

「母がわたしのこと<鬱陶しい>ってよく言うの前に話したでしょう」

「聞いた。ちょっと言いすぎだと思うけど」

「で、このことを友達にね、いつもこんなことを言われるのって話したら<え〜 ひどい!!>って同情してくれたの」

「良い友達だね」

「その友達がこのことを母親に話したんだって。そしたら、お母さんも<え〜〜!>って驚いてくれたんだって」

「ほう」

「でもね、お母さんは<それを口に出してはいけないわね>って」

「ってことは」

「友達は驚いてさ <え〜〜。じゃ、お母さんもわたしのこと鬱陶しいって思っているの?!>って糾したんだって」

「そしたら?」

「<うん……。でも口には出さなかった>だって。これって同じじゃない〜〜」

「ハハハ。どこの親子も同じなんだな。子供を鬱陶しいと思うのは」

===

「ところで、先生、今日はどんな方の仲介をするの?」

ここでもーも−が話した佐知子さんのプロフィールは以下のようなものだった。

==38歳、結婚8年目。これまでに人工授精6回、体外受精1回。このうち人工授精のときに1回、体外受精のときに1回、それぞれ流産を経験している。病院の検査では特に異常はない。治療歴1年半。==

「では、替わります」

「よろしくね」

2008417 ()

第3話 その2

「なぜ流産になってしまうんでしょう。習慣流産になってしまって、もう、このまま産めないのではないかと落ち込んでしまいます」

「2度も続いたのですから、不安にかられますよね」

原因はわからないのでしょうか?」

「流産の原因は、まだ6割程度しかわかってはいないんです」

6割ですか……」

「はい、それに原因がわかったとしても、病院でそれが解消できる割合は、じつはあまり多くないのが現状なのです」

そうなんですか……」

「いつも言っているのですが、病院でできることは薬(ホルモン)と手術なのです」

ここでもーもーは流産について説明した。

2回連続して流産すると反復流産、3回流産すると習慣流産といわれる。流産とは妊娠20週未満で妊娠が中絶されることで、全妊娠の約10〜15%に認められる。これは、臨床的に妊娠が確定診断された後の流産のこと。着床1〜2週間を含めると、全妊娠の5割ほどが流産になっているという研究もある。

2008419 ()

第3話 その3

「先生、だんだん暗い気持になってきました」

「事実は厳しいですからね」

「自分だけがうまくいかないんだ、という気になっています」

「自分だけがこのまま出産できないのではないかと……。そういう不安にかられているわけですね」

「だって、もう1回流産したら不育症になってしまうわけでしょう」

「たしかに。でも希望もあるんです」

「希望?!」

「はい。データ的には、2回の流産があったとしても、その次に流産を反復する確率は高くないんです」

「無かった人と変わらないと」

「はい! 佐知子さんのように2回流産があった場合でも、この次に元気な赤ちゃんを産める確率は、まったく流産していない人と比べて少し下がる程度なのです」

「……」

「仮に3回以上連続して流産したとしても、その次は55%、つまり過半数の人が元気な赤ちゃんを産めるんです」

「ということは45%の人は産めないことになるのですよね」

「マイナス思考なんですね〜〜」

「はい。つい心配が先にたってしまって」

「2回のも流産を経験なさったのですから、無理もないです。当院でも習慣流産の方が3人おられましたが、3回連続で流産のあと、みなさん元気な赤ちゃんを産んでおられます

そうなんですか。なんか、元気が出てきました」

20085 3 ()

第3話 その4

「稽留流産の手術って、辛かったでしょう」

「そりゃぁ、もう。地獄みたいでした」

「地獄みたい?……」

そう、地獄でした。産院も兼ねている病院でしたから、お産の気配や産声が聞こえてくるんです」

「あぁ、そんなところで手術を受けたんですか」

「先生や看護師さんから流れ作業的に扱われて……」

「ひとりの辛い思いをした患者として処遇されなかったのですね」

はい。痛いこともすごく辛かったけど、そういう病院の対応にも辛かったです」

「流れ作業みたいに機械的に対応されることは、とても多くの方が経験されています」

「涙がとまりませんでした」

「……」

「家に帰ってからも1週間も泣き続けました」

「1週間も……」

はい。もうこの先自分には未来はない、という気持ちになってしまったんです」

「未来がない……。無理もないことですよね」

なんだか目標を失ってしまったような感じで」

「夢を失ったようなお気持なんですね」

そうねんです。なんで自分だけこんな目にあわなければならないのかって。出られない暗い壺の中に落ち込んでしまったみたいで、絶望感に打ちひしがれていました」

「ああ、それほどの絶望感だったのですね。でもそんな中でよくここまで回復されました」

(途中を省略)

私にはもう、赤ちゃんを抱く確率はないんでしょうか」

「そんなことはないです。これは私の説ですが、鍼灸やウォーキングによる身体作りによって、卵子の生命力がだんだんアップしてくるんです。そうなれば、先ほど話した西洋医学的なデータとは無関係に、妊娠率ははるかに上がるはずです。その証拠に、先ほどお話したように当院で3回連続流産だった方3人が、みなさん元気な赤ちゃんを産んでおられます」

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第3話 その5

私にはもう、赤ちゃんを抱く確率はないんでしょうか」

「そんなことはないです。これは私の説ですが、鍼灸やウォーキングによる身体作りによって、卵子の生命力がだんだんアップしてくるんです。そうなれば、先ほど話した西洋医学的なデータとは無関係に、妊娠率ははるかに上がるはずです。その証拠に、先ほどお話したように当院で3回連続流産だった方3人が、みなさん元気な赤ちゃんを産んでおられます」

どうしたら元気な受精卵が育つんですか」

「卵巣機能をアップすることだと、私は考えています。卵巣機能アップとはいろいろありますが、わかりやすいのは毛細管が太くなって、血流がよくなることだと考えています。これによって、卵子に栄養と酸素が充分に行き渡るのです。充分な栄養と酸素をもらった卵子は生命力があるので、着床しやすいし、その後の流産も乗り越える力を持つようになるのだと経験から言えます。

こういう話を聞いたことがあります」

ここからもーもーが話したこと。====

馬や牛などで優秀な遺伝子をもった母体の受精卵が加齢によって劣化してくると、卵子の中の、細胞質(遺伝子ではない液体の部分)を若い元気な受精卵と入れ替える。

そうすると、生命力が劣化した卵子でも、高い妊娠率が維持できる、という。つまり優秀な遺伝子を持った子供を生める。

この話の示唆するところは、受精卵の液体部分が生命力を支えているという事実。

アメリカでは、人間で同じような研究があって、家畜と同じような結果が出た。人間では倫理問題に直面し、中止された。

以上の話の示唆するところは、元気な卵子を育てることが重要で、それは身体作りによって可能となる。元気な生命力の旺盛な受精卵が育つようになる。

妊娠できなかった受精卵も妊娠できるようになり、妊娠をするものの出産までの力がなかった受精卵もだんだん生命力を増していき、この次は流産することなく出産までいける受精卵が育つようになる

佐知子さんも身体づくりで卵巣機能をアップさせて、早く元気な生命力のある卵子ができるように、頑張りましょう」

2008528 ()

第3話 最終

佐知子さん、元気になられたようね」

「ああ。良かった。のりぴー、今回もご苦労様」

「じゃ、また来るね〜」

 今回は落ちがみつからず、最終回がなかなか書けませんでした。

 明日、第4話がはじまりま〜す。


2008529 ()

第4話 その1

「もーも−先生、こんにちは」

「やぁのりピー、久しぶり」

「わぁ、お花きれいねぇ」

「きれいだろ。あまり整っているんでよく造花と間違われるんだけど、生花だよ。今度来るときはないと思うんで、よく見ていって。ねぇのりピー、こんなジョーク聞いてくれる?」

「え〜!?また先生の? うん、一応聞いてあげる」

「ありがとう。あの、カードのSUICAのことだけどさぁ。子供のカードを使って大人でも通れるらしいね」

「そうなの?」

「うん。それで児童改札っていうみたいだよ」

「……」

「――受けなかったねぇ。寄席で噺家さんがやっていたて、聞いたときは大笑いしたんだけどなぁ。まあ、めげずに続けよう。じゃあのりピー、早速入れ替わってくれるかい?」

「はい」

「じゃあ始めよう」

のりピーが入れ替わった未妊さんのプロフィールは次のようだった。

33歳、結婚して3年、初めから赤ちゃんを欲しいと思っていた。まだ妊娠はない。基礎体温の測定で排卵日を推定してタイミングを取っているが、なかなか妊娠しなくて診療にみえた。

「基礎体温でタイミングを取るっていうのは、測定するのにストレスがかかるでしょう」

「はい。綺麗な二層にならなかったり高温期が続かなかったりしたら、すごく落ち込みます」

「毎日、一喜一憂して」

「そうなんです。それもストレスになります」

「私は排卵日を推定する目的で基礎体温を測ることは、推奨していません。というよりも、世界標準がこう言っているのです。『基礎体温表で排卵日を推定しても当てにならないので、推奨しない』と」

「そうなんですか」

「基礎体温の最終低温日とその後の3日、計4日間でも排卵する確率は75%なのです。あとの25%はそれ以外の日なので、なかなか当たらないのです」

「では、いつが最も確率が高いのでしょうか」

「それを推定するのに1番いいのが、子宮頚管粘液の増減です

もーもーはここで子宮頚管粘液の分泌量と、排卵の確率のグラフを見せた。

「このように、ちょうど同じ形が3日ずれているでしょう。人間の進化の過程で、3日ずれているタイプが1番妊娠しやすかったので、現在の我々はこのパターンになっているわけです」

「つまり、排卵前の方が妊娠率が高いわけですね。」

「そういうわけです。他の海外の論文を2つ見たのですが、いずれも排卵日の2日から3日前にピークがきています。長い場合には5日前でも10%妊娠率があるというデータさえあります」

「知りませんでした。これまでタイミングが合っていなかったのかもしれません」

「無駄な日を過ごしてしまったかもしれません」

「その可能性はありますね」

2008531 ()

第4話 その2

「でも先生、精子って早ければ20分くらいで卵管采まで行くんでしょう」

「ごく先頭のトップランナーはそのようですが、先人たちはみな途中で力尽きてしまうようです。後からじっくり行ったものが、最終的に受精までこぎつけるようなのです」

「では、子宮頚管粘液を基準にすれば、妊娠できるのでしょうか」

「可能性は高くなると思われます」

「それで、どんな時が、妊娠率が高いのですか?」

もーもーは専門書を取り出して見せた。(『不妊治療ガイダンス』荒木重雄、浜崎京子著)

「子宮頚管粘液排卵数日前からはっきりわかるように増えてきます。最終低温日頃に0.30.4mlに達し、透明になります。水飴のように粘液が糸を引くようになり、それが15cmにもなります。この頃がいちばん妊娠しやすいのです」

「でも、わたしの場合、子宮頚管粘液がよく分からないんです」

「体調が良くなれば、分かるようになってきます。そのためにも、身体づくりをしてください」

「頑張ります」

2008610 ()

第4話 その3

「そうですねぇ。あなたの場合BMIが24で少し高いですね。もう少し食生活の中からカロリー量を制限して、しばらく様子を見てはどうでしょうか。それとアルコールも妊娠率を下げますので、ビールを毎日お飲みのようですけどこの辺りがぎりぎりのラインなので、できればそれよりも少なくすることが望ましいと思います」

「実は、そろそろ病院に行こうかと思っていたのですが、なかなか決心がつかなかったのです。わたし病院に行きます。そして赤ちゃんを抱きます」

「ちょっと待ってください。病院に行くことと、授かることはべつなのですよ」

「病院で治療を受ければほとんどの人は妊娠できるのでしょう」

「いえ、そうとも言えないんです。ごく大雑把に言うと、病院に通って結果的に妊娠できるのは2〜割くらいと言われています」

「意外に少ないのですね」

「はい。ある誠実な不妊専門クリニックでは、説明会の時に先生が『うちに通って最終的に赤ちゃんを抱けるのは3割くらいです』と話していたそうです。少し誇らしく。

またある有名なクリニックでも、初診から3年経った時点で妊娠できていたのが5割に満たなかった、というデータもあります。また、不妊カウンセラーの大先輩は、不妊専門クリニックで、未妊の方にこう言っているそうです。『病院に過剰な期待をしてはいけないんですよ』」

「そうなんですか。病院に通っても授からない人が思ったより多いのですね」

「そうです。病院に行けば必ず授かる、あるいは多くの人は授かる、というのは実は現実ではないのです」




はじめての方に

ラポール治療院ラポール治療院

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